便移植治療といっても基本的には、大腸内視鏡検査と同じ事をするだけなのですでに大腸内視鏡検査を何度か経験したことのあるIBD患者にとってはおなじみかもしれません。
移植するのは便とはいえ、移植手術になりますので緊張感をもって当日を迎えていきましょう。
この記事の目次
治療前日をむかえるまで
治療の日を迎えるにあたり、順天堂大学ではAFM療法(抗菌薬療法)を行います。
AFM療法については下記の記事に詳しく記載しましたが、すでに体内にいる腸内細菌を抗菌薬で死滅させておく治療方法です。
体内に悪い影響を及ぼす腸内細菌を殺すことにより、移植される腸内フローラをより定着させてみようという意図があります。
AFMだけでも治療効果はあるといわれていますが、半年以内の再発可能性は50%程度あるという事です。
AFM療法を行うと、一時的に体調がかなり悪くなります。
毎日毎食後大量の抗菌薬を飲みますので、身体に負担がかかっています。
1回で飲むAMFの量。これを毎食ごとに1日3回、2週間内服する
あまり無理をせずに仕事を軽めにしたり、外に散歩などに行くと気分がリラックスしてよいと思います。
私の場合はゴルフの練習に行ったりして少しだけ身体を動かしたりすると、リラックスできて逆に体調のことを考えることなく2週間の治療期間を続けることができました。
治療前日
2週間のAFM治療が大変でしたので前日になるとワクワクと不安が入り混じります。
基本的には前日の夜ごはんは消化に良いものを食べます。
推奨されるものはおかゆ、繊維質の少ない野菜、うどんなどです。
治療前日の食事について
前日20時以降は絶食です。水やお茶などを飲むことは許されています。
人によって次の日に排便がされやすくなるような薬を飲む事もあります。
私の経験上は飲んでも飲まなくてもあまり違いがないような気がします。
翌日に備えて早めに就寝しましょう
治療当日
検査5時間前には起床して準備をしましょう。
私の場合は病院で10時から検査が始まりますので5時に起床します。
前日に作っておいたモビプレップを飲み始める。
モビプレップとは?
モビプレップとはかんたんに言うと下剤(腸管洗浄液という)です。
大腸内をきれいにするために、検査前にモビプレップを飲んで排便をたくさんします。
モビプレップのつくり方
①モビプレップに半分くらいまで水を入れ、キャップを閉めます。
私の場合は浄水器かミネラルウォーターを使います。
②薬剤Aと薬剤Bを混ぜます
水を入れただけでは薬剤Aの溶液しかできません。
薬剤Bは左上のポケットに分離されています。
Aの部分を上から強く推すことでポケットBの接着がはがれてAとBの溶液が混ざるようになります。
③消泡液を入れ、2リットルの線まで水を入れてよくかき混ぜます。
腸管洗浄開始
私の場合はモビプレップは前日の夜に作って冷蔵庫に入れておきます。
朝起きてからなるべくバタバタしたくないので、みなさんも前日までに準備しておくことがおススメです。
という事で実際に飲み始めます。
味はアクエリアスに近い感じです。
想像しているよりも意外においしいですね。
最初は朝という事もあり喉が渇いているのでガブガブ飲めてしまうのですが、ペース配分に気を付けましょう。
10-15分でコップ一杯程度を飲むペースで行くとよいです。
病院によっては腸のマッサージをしてくださいとか言われますが、私の経験上あまり関係ないです。
ペース配分を保って飲んでいきましょう。
1時間ほど飲み続けると、便意が襲ってきます。
2-3回ほど自発的に便をしているという感じがします。
5回ほど便をするとそれ以降はほぼ垂れ流し状態になります。
男性の方はおしりからおしっこが出るイメージだと思ってください。
無理に我慢したりコントロールしないのがおススメです。
私はトイレにコップを持って行って、トイレに座りながら、モビプレップを飲み、おしりから便を垂れ流し続けるという形で大腸内をきれいにしています。
毎回きれいにおしりを拭こうとすると、最終的に拭きすぎてお尻が痛くなります。
自宅で作業する場合はあきらめて垂れ流しスタイルのほうがおススメです。
通常の人であれば1リットルほどモビプレップを飲めば便が完全な水便になります。
モビプレップは味が濃いので、途中お水やお茶を飲んで身体の中を薄めてください。
上記の便の状態の④になれば、腸管洗浄の終了です。
私もそうだったのですが、重度のIBDの方は腸内の炎症により激しく穴や傷が空いています。
この影響で腸管を綺麗にするためには比較的時間がかかります。
人によっては2リットル近くのモビプレップを飲む必要があります。
病院に8時出発
モビプレップを飲んだ後は、しばらくお腹がゆるい状態が続きます。
外出しようと思ってもトイレに行きたくなることがありますので、朝は余裕をもって出発しましょう。
病院によって集合時間は変わると思いますが、私の場合は10時に病院で検査が始まりますので8時頃には準備をして病院に向かうことになります。
その際、往復の緊急用にパンツの替えは持っていく必要があります。
恥ずかしいですがおむつをして病院に行くのがおススメです。
この時、男としてのプライドは一度捨てましょう。
ドナー便と当日の自分の便を忘れないようにしてください。
ドナーも準備が必要
便の移植ドナーも十分な準備をして当日に臨んでいます。
便移植治療2-3週間前に病院で血液検査や感染チェックなどが行われ、ドナー便としての適性をチェックします。
感染チェックで問題が応じた場合には、再検査が必要となってしまいます。
また便移植までの間、食中毒などの感染症にならないよう、お刺身などを控えるように指導されます。
また揚げ物、お肉などの高脂肪食も控えるよう指導を受けます。
当日は病院より提供されたタッパーで採便をします。
決まった時間に排便をするのは、便通が良い方でないと難しいですよね。
手術前検査から移植手術へ
便移植治療前に血液検査、血圧検査、当日の体調チェックなどを行います。
その後検査着に着替えます。
基本的には大腸内視鏡をするときと流れは同じです。
準備ができたら検査台の上です。
移植手術をする際に、私の場合は意識がもうろうとする薬を使ってもらいますので、記憶はありません。
この薬は使わないことも選択できます。
順天堂大学の便移植では、国内や海外のお医者さんが見学に来ているので、恥ずかしいので意識を失わせてもらっています。
手術後
手術後に意識が覚めます。
2時間ほど病院の休憩所で安静にします。
このとき腸内に大量の便が注入されているので、漏らしそうになります。
すぐにトイレに行っていいですよと言ってくれますが、なるべく腸の中に定着してもらえるように我慢しています。
実際に移植するとどんな体感があるのでしょうか?
私の場合は今まで3回移植手術をしましたが、1回目の一番効果があった移植の時はすぐに効果を感じました。
身体が生まれ変わったように感じました。
まぁそれまでの体調が悪すぎたという事もあるのですが細胞が働き始めるような感じがしました。
手術後の夜から、空腹感です。
食事で空腹感を感じるのは何年ぶりでしょうか?って気持ちになります。
この気持ちは実際に潰瘍性大腸炎で日々の食事に苦しんでいる人しかわかりませんが、それまで食事は本当に苦痛でした。
お腹が減っているのに食事をすると腹が痛くなるのです。
皆さん。きっとそれで苦しんでいると思います。
でも学生時代を思い出してください。
食べても食べてもまだお腹が減ったような気がしていた時ありましたよね?
あんな感じの体調になります。
一方
他人の便を移植した第2回、第3回の時はそれほど効果を感じませんでした。
手術前とほとんど体調が同じ。
のちの研究では、親族の便(特に兄弟便)がもっとも相関関係が良く出たということです。
順天堂大学の2014-2016年の実験では、兄弟便を移植した20人のうち19人が長期寛解(2年以上の寛解)との効果が出たそうです。
私も2年半寛解状態が続きました。
しかし、その後の他人便での移植は2回とも効果が表れず。
半年後には炎症が再発しました。
半年も待たずに、手術が終わった後の自分の体調でわかると思います。
